装画｜伊与原新 『月まで三キロ』（新潮社）

伊与原新さんの『月まで三キロ』（新潮社）の
装画を担当させていただきました。
デザインは内山尚孝さん（新潮社装幀室）です。

2019年5月に行われた新田次郎文学賞授賞式では伊与原さんに招待していただき
イラストレーターとしてはとても嬉しい夢のようなひと時を過ごしました。

静寂な冬の風景を単行本カバー横長で描きました。カバーを外すと月から見た地球（宇宙）。
物事の裏表を表現しています。

制作過程では、3点カラーラフを作り、完成系より月が現実的な大きさで黄色いもの、赤い鉄橋を下から見上げたアングルのものとを比較してこちらに決まりました。
静かでしみじみときれいな月がすべてを照らしているやわらかいイメージで描きました。
大人の方にも手に取ってもらえるような素敵なデザインです。

青い空に存在するクリアな月、というのは私にとって心の風景。
そしてイメージの中では何故か、寒いしんとした空気の中に存在します。
今回そのような絵を装画で表現できたことに感謝しています。

寒い冬に心に寄り添う素敵な短編集です。